抄録
多国籍企業論や製造業において、日本の工場の海外進出戦略とマザー工場は、製造業のグロバール市場対応のための重要な関心事項である。マザー工場とは、企業の技術知識移転戦略を担う大規模な工場のことである。Ferdows(1997)は、企業の海外進出戦略と工場の役割から、工場を階層的に分類する「工場の戦略的役割」を提唱した。日本の自動車産業の製造車種情報を用いたネットワーク分析の結果、企業の海外進出戦略の違いにより、技術知識移転ネットワークの形態が異なることを明らかにした。さらにマザー工場と戦略的役割との関係も定義した。以上により、本研究は多国籍企業論と組織学習理論とに理論的貢献を行うと同時に実務的貢献も行った。