抄録
リーマンショック以降の金融危機に関する理論・実証研究では、各種金融規制とそれらに基づく金融機関行動に注目が集まっている。なかでも自己資本制約や市場リスク制約下においては、金融機関の投融資行動を通じてレバレッジが増幅される可能性が指摘されているが、各種論点が個別具体的に議論されているものの、規制間の整合性につき統一的な観点での検討が十分であるとは言い難い。本研究では、著者らが提案している資産価格変動と資金繰り行動を考慮した金融危機の破綻伝播モデルを拡張し、各種規制下での金融機関の投資行動を記述する。その上で当該規制の組み合わせが破綻連鎖の起こりやすさに与える影響を分析する。