抄録
エージェント・ベース・モデリングではヒアリング調査や観察にもとづいてエージェントの規範を読み解き実装する場合が多い。したがってモデリングの精度が作成者の対象に対する知見や経験に大きく依存する可能性がある。このことはモデリングのコストを高める要因になり得ると同時に、エージェントの規範や対象とするフィールド内のメカニズムをモデルに反映する際の障害ともなり得る。筆者らはこれらの課題を軽減するためプロトタイピング手法を併用した対話セッションによってモデリング対象の規範や対象フィールドのメカニズムといった暗黙知を抽出する手法を検討しており、特に科学技術イノベーション政策研究への援用を念頭に試行を行っている。