抄録
プラットフォームビジネスでは、先発性やネットワーク効果などによって1つあるいは少数の製品やサービスが市場で高い支配力を持つ状況が起こりやすい。しかし、このような寡占化した市場にあっても、新たな製品やサービスを投入し、一定の存在として認められる企業が現れることも珍しくない。先行研究では、基盤型プラットフォームの事例を通して、後発企業がいかに自陣営のプラットフォームの支配力を高めたかが論じられた。本稿では、媒介型プラットフォームにおいて、後発の事業者が既存のネットワーク効果を活かしつつ、先発の事業者と協調した戦略を採用している事例を考察し、プラットフォーム事業者の戦略に関する新たな仮説を提起する。