抄録
ネットワーク効果が働く製品では、市場シェアの獲得が競争優位性の構築につながるため、ある企業の製品が普及し一度高い市場シェアを獲得すると、他社がその市場で新たな製品を普及させることは困難となる。しかし、ネットワーク効果が働く典型的な市場であるパソコン市場において、これまではマイクロソフト社のOSを搭載したPCが大きな市場シェアを有していたのに対し、近年、チャレンジャー企業であるアップル社のOSを搭載したPCがシェアを増加させるという注目すべき事象が見られる。本研究では、この要因を明らかにすることで、ネットワーク効果が働く市場におけるチャレンジャー企業の製品の普及戦略への新たな示唆を得る。