日本企業における環境CSRと経営業績の関係分析

抄録

本研究では，東洋経済新報社の『CSR企業総覧』から抽出した製造業と非製造業を含む複数の産業の2012年度から2016年度までの5年間のパネルデータを用い，環境に関する企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility: CSR)が企業の経営業績に及ぼす影響について分析する．環境CSRは多数の項目から構成されており目的によってある程度分類されている．本稿では，環境CSR項目を説明変数，ROA(総資産利益率)やROE(株主資本利益率)を含む4つの経営業績指標を被説明変数とし，パネルデータ推定を行った．分析の結果，環境CSRへの取り組みが企業の財務パフォーマンスを高める効果を有することが示された．