抄録
情報システムデザインの良否はその機能性や操作性のみならず、実現コスト、利用者の意識や理解、社会制度、文化や規範などに広く関係して評価される。しかし、情報システムは中核となる情報処理システムの機能性が前提であり、機能性と実現コスト以外は明確な評価尺度が無く、明示的に良否を提示し難いことから、我が国ではその具体的な実現方策が中心的課題とされ、真の意味でのトータルなデザインは重要視されて来なかったといえる。本報告では、社会への電子化導入先進国であるスウェーデンでの情報システム利用事例の分析を通して、機能性や操作性の背後に潜む重要な評価視点を明らかにすると共に、日本の文化環境に適合した取り組み方策について議論する。