抄録
近年,ショッピングセンターやコンビニエンスストアといった業態に比べ百貨店業態は低迷しているが,その中でも百貨店企業の業績推移には違いがみられる.本稿では, (1)仕入・販売業務の委託(テナント化),(2)対象顧客セグメントの選択と価格設定,といった百貨店による経営施策の違いが業績に与える影響を表現する動的モデルを構築する.システムダイナミクスを用い,百貨店モデル(仕入・販売業務委託の拡大による自主企画力の低下),及び,市場・顧客モデル(顧客価値観の変化による市場セグメント間の顧客移動等)から構成されるシミュレーションモデルを構築し,シミュレーション結果と実際の百貨店の業績推移との比較によりモデルの妥当性を確認する.