抄録
保育施設で働く保育従事者(以下保育従事者)の基本属性・勤務状況, 職場のストレス要因,及び精神健康の関連を明らかにするために, 1213名の職員に横断的質問紙調査を行い, 610名(51.8%)の回答を分析した. 保育従事者には, 勤務年数5年未満の層と, 10年以上の層が多く, 収入水準は一般労働者と比べ低めであった. 年齢が若いほど量的負荷が大で, 年齢が高くなるにつれ, 勤務時間が長かったが, 施設形態は, 職場のストレス要因と関連がなかった. 多変量解析の結果, 精神的不調者の割合は新卒及び継続者で, 勤務時間が長いほど, 関連は高かったが, 他の基本属性や勤務状況とは関連がなかった. 精神的不調のリスク要因は, 上記の他に, 仕事の「量的負担」が1より高く, 「適性度」「満足度」が1より低かった. この結果は仕事の要求度-コントロール-社会的支援モデルと一致する. 今後は, 一般労働者のストレスマネジメント等を参考に, 保育従事者の精神健康改善を図っていく必要がある.