看護教育学研究
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在宅看護場面における看護職の行動に関する研究 : 保健婦とクライエントの相互行為に焦点を当てて
鈴木 恵子亀岡 智美定廣 和香子舟島 なをみ
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2002 年 11 巻 1 号 p. 12-25

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抄録
本研究は、在宅看護場面における看護職の行動を説明する概念を創出することにより、その総体を明らかにし、在宅療養するクライエントを対象とする看護実践の特徴を考察した。研究方法論には、看護概念創出法を適用し、参加観察法(非参加型)によるデータ収集を行った。観察対象は、長年に渡り在宅看護において中心的役割を担ってきた保健婦が展開する看護場面であり、保健婦がクライエント・家族との相互行為において示す行動をデータとした。持続比較分析の結果は、6概念を創出した。これらは、【問題の明確化と訪問家族との問題の共有】【知識・技術の提供、他職種との協力による問題解決・回避とその個別化】【訪問家族の問題対処の補足と強化】【訪問家族との関係性維持と発展】【訪問家族のプライバシー擁護とプライバシーへの過剰侵入回避】【家族構成員間の関係性維持と強化】である。これらの保健婦行動と先行研究である医療機関における看護婦・士行動との比較は、在宅看護場面における看護実践の特徴を3点示唆した。すなわち、看護職は、看護問題の解決・回避に向け、(1)クライエント及びその家族と問題を共有するとともに、各々の問題対処を補足・強化する。(2)クライエント及びその家族個々との関係性維持、プライバシー擁護を通して家族構成員間の関係性を維持・強化する。(3)看護の基本的な知識・技術を各家庭の実情に合わせて変換、提供するとともに、多様な職種との連携・調整を図る。
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© 2002 日本看護教育学学会
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