スポーツ精神医学
Online ISSN : 2436-1135
Print ISSN : 1349-4929
原著
統合失調症の精神科デイケア利用者の運動状況と肥満および服薬内容に関する一研究
萩原 遥奥平 智之若槻 晶子芝 恵美子安藝 竜彦葛西 正文山口 聖子矢久保 修嗣
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 10 巻 p. 75-79

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抄録

精神科患者は生活習慣病や肥満の有病率が高く、薬物療法においても抗精神病薬の副作用による体重増加などが問題となっている。本研究では、精神科デイケアに通所する統合失調症者の運動状況と肥満および服薬内容の関係を調査した。運動状況については、健康づくりのための運動指針2006で示された身体活動の定義を使用した。参加者は大規模型精神科デイケアを利用する統合失調症者50名で、平均年齢は39.94±10.05歳であった。全体の65.2 %(男性69.2 %、女性60.0 %)は推奨される身体活動量に満たなかった。性別では、男性が女性より運動量が多かったが、身体活動量に差はなかった。運動状況と服薬量に相関はなく、肥満有病者と非有病者、抗精神病薬の単剤療法群と多剤併用療法群で活動量に差は見られなかった。また、学生時代の運動歴の有無、抗精神病薬に併用されていたベンゾジアゼピン系薬剤や漢方薬の量や種類においても活動量の違いは見られなかった。デイケア利用者には、十分な注意のもと広く運動療法を推奨することが望まれる。

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© 2013 日本スポーツ精神医学会
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