2013 年 10 巻 p. 69-74
自律訓練法(autogenic training:AT)は継続的な実施により、病気ではないまでもストレスが影響する諸症状に対し健康の維持・増進に役立つと示されている。本研究はAT未経験者を対象として、AT公式を録音したCDをテキストとした介入が有用か否かを、自律神経活動に及ぼす生理的作用を通して明らかにすることを目的とした。測定項目として心電図、POMSとし、4週間の介入前後に測定を行った。介入群のみCDおよびトレーニング記録表を渡し、4週間トレーニングさせた結果、自律神経活動機能には両群ともに有意な変動は認められなかった。しかし介入群の「凍瘡が改善された」1例では実施後に副交感神経活動の顕著な増大が認められた。Profile of Mood States(POMS)は介入群においてAT実施前後の「緊張-不安」に有意な減少を認めた。AT未経験者であってもCDによる自律訓練法を利用することにより、簡便に練習を継続でき、自律神経系のバランス調整機能および主観的なこころの状態改善が促進される可能性が推察された。