2015 年 12 巻 p. 39-45
うつ病患者に対する運動介入は身体・精神的指標に効果があるとの報告があるものの、安全で効果的なプログラムについては共通見解が得られていない。今回、健康増進施設で実施可能なプログラムを開発、その効果と安全性を検証した。対象はうつ病やうつ状態と診断され、主治医に運動を勧められた28人(男19人、女9人、39.6±10.7歳)。週3回を目標に来所してもらい、有酸素運動と筋力トレーニングを漸増させる運動プログラムを3か月間実施、その前後に身体・精神面の評価を行った。脱落は1名のみで、残り27人の運動量は、3.6±1.3 METs・時/回(頻度1.7±1.0回/週)。全体の前後比較では、日本版自己評価式抑うつ性尺度(以下:SDS)得点、ALTが有意に改善した。SDS得点は、週2回以上、4 METs・時/週以上利用群でそれ以下よりも有意に改善した。自覚症状の改善や自己効力感の向上も観察され、定期的な運動実践や運動量を段階的に増やすことが、身体・精神的両面の改善に寄与することが示唆された。