本研究では民間企業における労働者の運動習慣の実態を調査するとともに、個人の運動に対する価値観がストレス反応及びストレス対処能力にどのような影響をもたらすのかを調査・検討した。茨城県内の民間企業の常勤職員439名より回答を得て、そのうち30~49歳、男性、既婚、子供ありの4条件を満たす199名を解析対象とした。その結果、運動習慣のあるものとないものでは勤務時間に差を認めなかった。また、運動習慣があるもののうち、週2回以上の運動習慣のあるもので有意に身体的ストレス反応が低かった。また、運動を健康増進のためと捉えているものは、ストレス対処能力が高く、心身のストレス反応が低かった。従来までの運動指導は運動の種類、強度、頻度、時間などの客観的・数値的項目に注目すべき手法が多かったが、今回の結果から職域における運動習慣の確立を指導する際には、自らの健康に目標を置くような、認知行動療法的アプローチも有用である可能性が示された。