武道の特性は、単に相手と相互に対峙する中で、身体を制御する技能を用いて競い合うだけではない。その技能の錬磨を通じて、精神性を高める特性がある。またその技能の錬磨過程においては、心身統合の働きが作用し、精神的・心理的な態度形成に良い変化をもたらしうるとされている。このように、心身の統合性の高い武道は、欧米諸国においては既に、心に病を持つ精神障害者に対し、運動療法として応用が可能であることが明らかにされている。
精神障害者に対し、精神面のリハビリテーションとして、武道の応用された場合の、方法とその効用性を明らかにした文献を紹介する。さらに、武道そのものの価値を再確認しながら、精神障害者への療法としての実践研究の動向を分析し、我が国における精神障害者に対する武道指導の応用と、その可能性を検討した。