アスリートにおける精神障害は、一般人に比べて障害の種類や発症状況、症状に特徴がある。同様に、自殺に至る経過に関してもアスリート特有の状況があると考えられる。そこで本研究では、学生アスリートの自殺率や既遂例の分析を通して、アスリートの自殺に関する特徴を明らかにすることを試みた。
自殺率に関しては、統計的に有意ではないものの学生アスリートは一般学生よりも低い傾向があった。自殺既遂例の検討からは、特に団体競技において、チームメイトに迷惑をかけたくないという気持ちが治療を受けることへの躊躇や精神障害の否認につながり、結局は本人の自責感を深めてしまう方向に働きやすいことが明らかとなった。これは日本独自の文化的背景によるところが大きいと考えられた。
これらを踏まえ、アスリートの自殺予防に関する若干の提言を行った。その中で怪我の相談を受けるトレーナーやチームドクターがメンタルヘルスチェックを同時に行うことの重要性について言及した。