システム農学
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わが国の農業分野におけるエネルギー消費と二酸化炭素排出量の評価
山口 武則山川 修治大浦 典子福原 道一
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1995 年 11 巻 2 号 p. 145-154

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抄録
近年、温室効果ガスの増加による地球の温暖化が国際的に大きな問題になっている。本研究においては、グリーンエナージ計画報告、産業連関表、エネルギー・経済統計、総合エネルギー統計、農産物生産費報告などの文献・資料を解析し、農業におけるエネルギー消費とそれに伴って排出されるCO2量の把握を行った。その結果、わが国の農林業におけるエネルギー総消費量(1991年)は原油に換算して0.07億tであり、これに伴って排出されたCO2量は0.22億tであった。石油製品および電力の消費量(1991年)は、石油製品は7,894千kL、電力は3,080百万kWhで、これらの消費に伴って排出されたCO2量は0.233億tと試算した。肥料、農薬、農業用フィルムなどのおもな生産資材の製造時にもCO2が排出され、その量は約0.04億tと推定した。農産物の生産過程では、気温調節などにエネルギーが必要な温室、ハウスなどの施設からCO2が排泄され、その量は年間10a当たり7,228kgで、また栽培過程における農業機械の運転作業からもCO2が排出され、その量(kg/10a)は、米栽培70、小麦栽培30、裸麦栽培42、六条麦栽培36、大豆栽培75~101、ナタネ栽培39~49であることが判明した。
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© 1995 システム農学会
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