システム農学
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情報化市場システムの経済的便益と導入を阻む障壁
Ho Geun LeeTheodore H. Clark松田 友義
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ジャーナル オープンアクセス

1997 年 13 巻 2 号 p. 73-81

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抄録

最近、情報化市場が、従来の市場制度に替わり得るものとして議論を呼んでいる。本論文は情報化市場システムが、新たな市場制度創出のため、あるいは既存市場強化のためにどのように役立ち得るかを考察するとともに、情報化市場システムの適用が関連企業にどのような影響を与えるかを分析するものである。情報化市場システムの導入が関連企業や市場に与える影響を理解するためには、システムの導入によって探索費用・調整費用・取引終結費用それぞれにどのような影響を与えるかを分析する必要がある、というのがわれわれの基本的立場である。取引に関する情報通信技術の利用については情報化企業統合と情報化市場の二つの方法があるが、どちらを選ぶかによって、当然、取引費用に与える影響は異なると考えられる。本論文では、まず取引の三つの過程、探索過程・調整過程・取引終結過程における取引費用についての議論を簡単に整理するとともに、情報化企業統合(インテグレーション)と情報化市場の相違について検討する。さらに情報化市場導入の結果として一般的に期待される経済的便益、導入の背景にある経済的誘因について議論する。また、情報通信技術は市場制度そのものを再編するためにも、現行制度のままで取引方法のみを改善することにも適用できることを明らかにする。さらに、情報化市場システムの導入を阻む、社会的・組織的障壁の存在について明らかにし、情報化市場システム導入を成功させるための条件について考察する。最後に残された課題について簡単に紹介する。

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© 1997 システム農学会
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