システム農学
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総説
牛肉へのダイオキシン汚染径路に関する総説
広岡 博之
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ジャーナル オープンアクセス

2000 年 16 巻 2 号 p. 123-128

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抄録

ダイオキシンとは、ポリ塩化ジベンゾーpージオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)およびコプラナーPCB(Co-PCB)を含めた化合物の総称で、特に2、3、7、8の位置に塩素を持つ7種のPCDDと10種のPCDFが毒性を持つとされている。このようなダイオキシンの人への暴露に関する社会の関心が高まってきている。この研究では文献サーベイを行なって、牛肉へのダイオキシンの汚染径路について検討した。本サーベイの結果、わが国の大気は、ごみ焼却施設が多いため中都市以上の都市で汚染が激しく、また、土壌は除草剤の使用によって農村地域ほど汚染の度合いの高いことが示唆された。日本の牛肉のダイオキシン濃度の報告値は、他の国の報告値とほぼ同程度であった。将来的には、ダイオキシン汚染に関する問題の特定と解決のために、包括的な研究とデータの収集にもとづくシステム論的アプローチの必要性が示唆された。

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© 2000 システム農学会
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