システム農学
Online ISSN : 2189-0560
Print ISSN : 0913-7548
ISSN-L : 0913-7548
研究論文
衛星観測NDVIによる秋まき小麦子実蛋白含有率地図の作成手法
安積 大治林 哲央志賀 弘行
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 22 巻 2 号 p. 89-98

詳細
抄録
衛星リモートセンシングにより秋まき小麦の子実蛋白含有率を推定し、地図化する手法を提示した。北海道の主要な小麦生産地2地域4町村を対象として、SPOT,Terra/ASTERおよびQuickBirdの衛星データと地上調査で実測した子実蛋白含有率との関係を検討したところ、赤・近赤外波長域の分光放射輝度、正規化植生指数(Normalized Difference Vegetation Index:NDVI)と子実蛋白含有率との相関は、いずれの地域についても、出穂直後は低いがその後徐々に成熟期まで高まった。6月下旬以降、子実蛋白含有率との回帰の寄与率は、NDVIが赤・近赤外域分光放射輝度を常に上回ったことから、子実蛋白含有率の推定にはNDVIを用いることが適当と考えられた。NDVIと子実蛋白含有率との回帰の寄与率が0.6を上回る観測時期は、成熟期の3週間前~成熟期であり、成熟期に近いほど高い寄与率が得られた。NDVIと子実蛋白含有率の回帰式を、衛星画像から抽出した小麦圃場の全画素に適用することによって、衛星データから子実蛋白含有率を推定し、地図化することができる。衛星観測適期における雲量30%以下の条件の出現割合は、北海道内の小麦主産地では概ね15~23%、実日数にすると4~6日程度と考えられ、ポインティング機能を有する衛星であれば、1~3日に1回の観測能力を有することから、ほぽ毎年のデータ取得が可能と考えられる。作成した地図は、当年の栽培管理に利用することは困難であるが、産地の子実蛋白含有率の変動実態や地域特性の把握、次年度以降の栽培管理の改善に利用できる。
著者関連情報
© 2006 システム農学会
前の記事
feedback
Top