システム農学
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研究論文
IKONOS データとLiDAR データを用いた針葉樹天然林推定精度の向上
高橋 由香酒井 徹朗
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2007 年 23 巻 3 号 p. 237-244

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抄録

本研究では、森林資源の現状把握のために、高分解能リモートセンシングデータであるIKONOSデータと航空機LiDAR データを用いた林相区分の推定手法の開発を試みた。両者のデータからテクスチャを求め、それらを変数としたクラスタ分析の結果から得られた林相区分の可能性について論じた。用いたテクスチャは平均・コントラスト・分散・エネルギー・エントロピーの5つである。IKONOSデータ単独で分析した場合、LiDARデータを併用した場合、また、テクスチャデータを用いた場合等、様々な組合せで分析した。それぞれの組合せにおいてクラスタ分析によって林相区分をおこない、分類精度を比較した。本研究の特徴は、テクスチャを算出するウィンドウサイズ(1ピクセル=1m)に分割・大きさ・形状の3つの規則性をもたせた点にある。特に形状では、通常用いる矩形と菱形を採用した。菱形を用いることで樹冠を考慮することができた。分析の結果、テクスチャの最適なウィンドウサイズを用いたデータは大きさ7×7(ピクセル)の菱形で最適なヒストグラムの分割数は7分割だった。最適なデータセットを用いた分類の全体精度は58.2%、針葉樹天然林おいては89.4% の高精度を得ることができた。その最適なデータセットは24 変数という多変量を含んでいるので、変数を減らすため主成分分析をおこなったところ、第2 主成分までを用いれば24 変数全て用いた結果と同程度の精度が得られた。分類精度を低下させずに変数を減らし、針葉樹天然林の判読率高めることができた。

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© 2007 システム農学会
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