システム農学
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研究論文
モンテカルロ法による出荷豚予測とリスク分析の事例的検討
雲 静杉本 隆重黒川 敦高橋 弘赤地 耕太郎
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2009 年 25 巻 3 号 p. 157-165

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抄録

畜産農家も資産や生産規模が拡大しており、コンピュータは単に計数管理を行うだけでなく、リスク管理等での有効活用が期待されている。本研究では、12 道県(群馬、新潟、秋田、宮城、静岡、石川、愛知、佐賀、大分、福島、栃木、北海道)にある養豚一貫経営79 農家における1 年間の繁殖および肥育のフィールド・データを用いて、生存産子数、年間種雌豚当たり離乳子豚数(PWSY)など繁殖に関わる13 個の生産指標と肥育期間死亡率および出荷予定頭数など肥育に関わる10 個の生産指標についてアンダーソン・ダーリング検定により適合度のよい確率分布を求めた。これらの確率分布とモンテカルロ・シミュレーションによる生産指標の感度分析では、PWSY に大きく影響する要因に総産子数(29.2%)があり、負の最大要因に種雌豚非生産日数(-28.7%)やほ乳期間死亡率(-28.7%)が大きく影響していることや、死産子豚数(-9.6%)、授乳日数(-3.2%)などの要因も相対的な数値として比較できることを示した。また、出荷頭数や販売額の予測可能性と投資に対するリスク分析では、具体的事例を参考に販売額と信頼度との関係を示し意思決定に活用できるなど、極めて有効な方法であることを示した。

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© 2009 システム農学会
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