システム農学
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研究論文
持続可能な作物生産システムの評価
ベトナム、トゥア・ティム・フェ州の山間地域を事例とした総合的な解析手法
ゴ ドゥク トゥン酒井 徹朗エカシン ベンチャフン
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2010 年 26 巻 4 号 p. 131-140

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抄録
ナムドン山地は脆弱な自然環境にあり、保全が必要とされている。農業生産、特に栽培システムは地元の人々の生計の中でも大きな役割を果たしているが、農業生産方式は、地元住民が独自に発展させてきた。そのため、その生産性と持続可能性との折り合いをつけながら、どのように発展していくかが利害関係者にとっての大きな課題となっている。それにも関わらず、多くの持続可能な作物生産システムの研究は未だ充分とは言えない。本研究は作物生産システムの持続可能性を各世帯レベルで比較・判断し、情報を提供するために行われたものである。このような状況において、階層分析法、及び持続可能性指標分析を用いて、環境的、経済的、また社会的な側面を示す7つの指標を選び調査を行った。ナムドン山地に3カ所選定された調査地におけるインタビュー調査の結果、主に6種類の作物生産システムがこの地域で用いられていることが判明した。しかしそれぞれの特定の地域では、農家が農業技術の実践だけでなく、異なる作物生産システム、土地利用形態、作付け形態を適用していることが明らかになった。それゆえに収益性、収量安定性は世帯により異なる。作物生産システムの持続可能性における各指標と総合的な解釈の重要性は上記の方法によりまとめられた。フォンロックとトゥオンカンにおいて推奨された作物生産システムは、それぞれ一年生工芸作物と河畔域の野菜であった。一方、フォンフーでは一年生工芸作物と果樹・多年生工芸作物栽培が階層分析法、及び持続可能性指標分析により推奨された。農業を行う環境に関わらず、作物生産システムの長所と短所を考慮し、改善していく必要がある。作物生産システムの収益安定性の変動が大きいことから、適切な土壌肥沃度の維持や応用技術の適用が不可欠である。それに加え、適当な実施の選択のためには地域における状況の自然的、社会経済的な特徴を考慮する必要がある。
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© 2010 システム農学会
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