放牧地における中大型哺乳類の種多様性の測定を目的とした自動撮影装置による調査において、年次、季節、使用機材、放牧条件、誘引物(匂いおよび餌)、設置場所といった諸要因が調査結果に及ぼす影響を評価した。さらに中大型哺乳類の生息確認に要する自動撮影調査での調査努力量を推定した。その結果、確認種数や各動物種の撮影頻度に対して、程度の違いはあるものの検討した要因のすべてが影響していた。したがって、自動撮影調査を実施する際にこれらの要因を考慮しないと、データのバイアスとなりうることが示唆された。生息種確認に要した調査努力量は、調査地間で大きく異なり、事前に調査努力量の適正値を想定することは困難であった。そのため、自動撮影調査による生息確認に必要な調査努力量は、予備調査を実施した上で調査地毎に判断する必要がある。