システム農学
Online ISSN : 2189-0560
Print ISSN : 0913-7548
ISSN-L : 0913-7548
技術論文
ALOS/PALSARデータを用いた飼料用トウモロコシ作付圃場把握の試み
石塚 直樹牧野 司
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 29 巻 2 号 p. 75-80

詳細
抄録

輸入穀物価格・飼料価格が高騰していることから、自給飼料の割合を増加させるために、各地で飼料作物の生産量が増加している。一方、飼料用トウモロコシの作付面積は、2007 年度以降、公表される統計値は都道府県単位のみとなり、市町村単位での客観的な情報を得ることが困難となった。この背景のもと、衛星データを用いた飼料用トウモロコシ作付圃場の把握に期待が寄せられている。今回は非常に狭い範囲であるが、飼料用トウモロコシ作付圃場抽出の可能性を探るため、時系列ALOS/PALSARデータを用い、各圃場の後方散乱係数の平均値をもとに教師なし分類を行った。その結果、複数時期に観測されたALOS/PALSAR データの後方散乱係数の変化をもとに、飼料用トウモロコシが作付されたと思われる圃場を抽出することに成功した。ALOS/PALSAR データから作成した飼料用トウモロコシ作付圃場図は、TMR センターの作成した飼料用トウモロコシ作付図と非常に良く一致し、衛星データから飼料用トウモロコシと判定された29圃場のうち27 圃場(93.1 %)がTMR センター作付図において飼料用トウモロコシであった。一方、飼料用トウモロコシ以外の作物は、牧草圃場の85.2 %が同一カテゴリに分類されたが、誤分類に規則性がなく、あまり良い結果を得ることができなかった。これは、ALOS/PALSAR に使用されているマイクロ波がSAR としては波長が長いL バンドであるため、飼料用トウモロコシのようにバイオマスの大きな農作物の作付圃場の抽出に適していたためと考えられた。

著者関連情報
© 2013 システム農学会
前の記事 次の記事
feedback
Top