システム農学
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技術論文
簡易線量計を用いた岩手県の空間放射線量率分布の推定
築城 幹典日野澤 義子畑中 亮菅野 崚太前田 武己
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2013 年 29 巻 2 号 p. 67-73

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抄録
東京電力福島第一原子力発電所事故により、岩手県においても放射性物質の暫定許容値を超える牧草が見つかり、一部地域で利用自粛や除染が行われている。2011 年6 月から7 月に、市販の簡易線量計を用いて、自動車内および地表面での空間線量率の測定を行うとともに、この調査結果を用いて岩手県全域の空間放射線量率の等値線マップを作成した。その結果、車内および地表面のいずれも奥州市、平泉町、一関市の境あたりに空間放射線量の高い地点が見られた。この結果は、文部科学省の行った航空機モニタリングによる空間放射線量率のマップと、高線量地域の所在がほぼ一致していた。このことから、簡易線量計を用いても、ある程度の信頼性があれば、相対的な空間線量率の分布を走行サーベイや地表面での測定により推定可能であると考えられる。岩手県の空間放射線量率の変化予測マップを作成した結果、降下した放射性セシウム由来の線量率は、30 年で13.5 %に減衰する結果となった。
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© 2013 システム農学会
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