システム農学
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研究論文
ALOS PALSAR画像を用いた熱帯泥炭地の分類抽出
‐インドネシア、中部カリマンタン州、カハヤン川流域を事例として‐
NOVRESIANDI Dandy Aditya長澤 良太
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2016 年 32 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

近年、熱帯地域の泥炭地における急速な土地利用転用 (オイルパーム園等) によって炭素放出の増加が危惧されており、適切且つ信頼し得る熱帯泥炭地のモニタリングシステムの確立が急がれている。合成開口レーダ(SAR)は、リモートセンシングの手法の中でも熱帯泥炭地のモニタリングにおいて最も有効なツールであると考えられる。しかしながら、L バンドの多偏波モードSAR の応用研究では、熱帯泥炭地において十分な研究が蓄積されているとは言い難い。そこで、本研究では ALOS PALSAR の多偏波特性を用いて熱帯泥炭地を同定、抽出するための有効な方法を確立することを目的に、インドネシア、中部カリマンタンの2箇所の研究対象サイトで熱帯泥炭地の分布の図化を実施した。研究の結果として、偏波分解(Polarimetric Decompositions :PDs)とレーダ植生指標(Radar Vegetation Index :RVI)の手法が熱帯泥炭地の特徴抽出に有効であることが評価された。さらに、Freeman-Durden の3 要素分解定理とRVI の手法を統合することによって、2箇所の対象サイトでそれぞれ灌木の繁茂する熱帯泥炭地を75.8%、77.6%のプロデューサー精度、80.9%、76.0%のユーザー精度で分類抽出することができた。

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© 2016 システム農学会
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