システム農学
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研究論文
Landsat 8 OLI(Operational Land Imager)を用いたタイ北部、スリランナ国立公園 における可燃林床葉量の空間分布
BURAPAPOL Kansuma長澤 良太
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2016 年 32 巻 4 号 p. 133-145

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抄録

タイ北部の森林地域では、毎年火災の発生に瀕している。森林地域における可燃林床葉量(wildfire fuel load)の存在は、火災の発生に影響する重要な要素である。本研究では、可燃林床葉量を推定するために現地踏査と2時期のLandsat 8画像による7つの植生指標(VIs)を比較検討し、可燃林床葉量の空間分布を推定するモデルの検討を行った。これによって、広範囲な地域でさまざまな森林景観に見られる火災発生リスクを評価し、タイ北部の国立公園内における森林火災のネガティブな影響の軽減に寄与することができると考えた。解析の結果、現地観測による葉量と正規化植生指標(NDVI)との間に最も高い正の相関が見いだされ、葉量の空間分布を推定するのに有効であることがわかった。そこで、通常季(雨季直後)と乾季における2時期のNDVIの季節変化からその差分量を求め、火災が頻発する乾季の林内における落葉量の空間分布を推定するモデルを検討した。モデルの精度検証は現地踏査で収集した落葉の乾燥重量を用いて行い、乾燥フタバガキ林において80.43%、落葉広葉樹林では71.36%の精度結果値を得た。さらに、対応あるt検定によるモデル検証の結果はp値0.05示し、両者の間に有意な対応関係があることが実証された。結論として、本研究で採用したモデルを以て森林火災に関与する可燃林床葉量の空間分布を推定できることが明らかになった。

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© 2016 システム農学会
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