システム農学
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研究論文
ALOS PALSARデータを用いたインドネシア、中部ジャワにおける農業的土地利用分類手法の検討
プリマ ミズキィ ミレルバ長澤 良太
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2017 年 33 巻 2 号 p. 27-36

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抄録

インドネシアにおいては、農業は国家の基幹産業のひとつであり国家歳入の主たる財源でもある。このため、正確な農業生産統計やその関連情報は、国および地方における農業政策によって極めて重要なものである。衛星リモートセンシングの手法は広範な地域を対象として空間的かつ統計的な農地情報の抽出に最も有効であると考えられている。しかしながら、従来の光学センサーを用いた手法は、熱帯地域において雲の被覆による制限を大きく受ける。そこで、雲の影響を受けない全天候型の合成開口レーダ(SAR)を用いた熱帯地域の農業モニタリングの有効性が指摘されている。本研究では、ALOS PALSARが取得した全偏波モードのSAR画像データを用いて農業地域の土地利用区分を試みた。対象地域は中部ジャワに位置する約50km2の範囲で、そこにはジャワ島に広く見られるような複雑で混合した農業的土地利用が展開している。まず、全偏波画像データの後方散乱量を解析して最適な偏波の組み合わせを抽出した。さらに、二通りの偏波合成手法を適用し農耕作地の偏波散乱特性を検討した。解析の結果、HH,HV,VH,VV,HH+HVの後方散乱量とFreeman and Durdenの偏波合成を統合した手法が対象地域の農業的土地利用を最も高い精度(総合分類精度:74.10%、Kappa係数0.625)で分類できることが明らかになった。すなわち、複雑な農耕作地の分類に際して、複数の偏波散乱特性を統合する手法が有効であることが示された。

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