システム農学
Online ISSN : 2189-0560
Print ISSN : 0913-7548
ISSN-L : 0913-7548
研究論文
ラオス南部の地域住民による複合生業に占める家畜飼育の役割とその変化
渡辺 盛晃
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 33 巻 4 号 p. 111-121

詳細
抄録

本研究はJICAが支援を行ったラオス南部山岳丘陵地域生計向上プロジェクト(LIPS)の参加農民を対象とし、プロジェクトが行った特定の家畜種支援に対して、地域住民が家畜飼育あるいは特定の家畜種への依存を強め、複合生業に影響を与えたのかどうかを考察することを目的とした。プロジェクトの支援によっても、地域住民は当該家畜飼育に集中することを選択せず、現金収入源を複数持ち、複数の家畜種を保有する形を選択している。ラオス南部の農村では貨幣経済の浸透とともに、特にスイギュウ、ウシ、ヤギは蓄財目的の動産として、ブタ及び家禽は現金収入源としての役割が強くなっている。鶏肉は自家消費用のたんぱく源として利用されるが、牛肉、豚肉、及びヤギ肉についてはそれほど自家消費されていない。また、システム外から配合飼料を購入するケースも若干見られるようになっているが、多くは外部資源に依存しない稲作ベース複合生産システムの中で家畜は飼育されている。

著者関連情報
© 2018 システム農学会
次の記事
feedback
Top