システム農学
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研究論文
加速度センサーを用いた動的体加速度測定による肉用牛の行動評価
-敷料交換が肉用牛の行動に及ぼす影響の検討-
大西 康介大石 風人兒嶋 朋貴児島 優稀外山 尚典熊谷 元広岡 博之
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2023 年 39 巻 4 号 p. 85-95

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抄録

本研究では、肉用牛の行動評価に対する3軸加速度センサーを用いた動的体加速度(DBA)測定の利用可能性を検討するため、一例として、舎飼いの肉用牛生産現場で一般的に行われている敷料交換(床替え)が肉用牛の行動に及ぼす影響を調査した。舎飼いの黒毛和種繁殖雌牛および黒毛和種去勢肥育牛をそれぞれ用いて計2回の試験を実施した。各試験において、床替え前、床替え当日および床替え1日後の連続した3日間で、供試牛の背部に装着した3軸加速度センサーのデータおよびタイムラプス画像データを各日12時間取得した。取得した3軸加速度データからDBAを算出し、また画像データからは行動様式(座位または立位(歩行を含む))の分類を行い、それらの3日間での変化を調べた。その結果、床替え前と比べて、DBAは床替え当日および床替え1日後に有意に減少し、座位時間が有意に上昇した。また立位時におけるDBAの値が床替え後に有意に上昇したことから、床替えによって敷料が柔らかくなることで立位時のエネルギー消費量が増加する可能性が示唆された。この結果は床替えによる敷料の状態の違いが立位時における肉用牛の微細な反応の違いを生み出すことを示しており、DBAを利用した本研究の手法は、肉用牛の詳細な行動評価法の1つとして有効であることが示された。

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