システム農学
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林業経営における最適生産量と最適伐期齢の決定
―中国林業を対象として―
于 暁明
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1988 年 4 巻 1 号 p. 99-120

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抄録

森林は人類の搖藍であり、人類の生存には欠かすことのできない基本的要素である。ゆえに、現代的な意味での林業の経営分析とは、林業の生態効益の確保を前提に、林業の経済効益を最大にするための最適生産量と最適伐期齢の決定問題でなければならない。しかるに、これまでの林業経営分析では、このうちの森林の生態効益は、これを全く考慮せず、ひたすら経済効益のみを追求してきた。それのみか、中国では経済効益すらも追求してこなかった。そのため、中国林業の発展は大きく阻害された。この障害を除去するために、本論文では、先ず社会主義国中国においても林業生産の商品経済化を推進するよう、その林業経営指導思想の転換を図る必要のあることを論証した。ついで、それを前提に、新しい林業経営分析のあり方を明かにした。具体的には、新しい観点に立っての最適生産量と最適伐期齡決定の問題を明らかにした。周知のように、林業は他のいかなる産業よりもはるかに長期の生産期間を必要とし、それが林業の最適生産量および最適伐期齢を決定するにあたり最大の困難事となっている。本論文は、この最も厄介な時間処理の問題に取り組んだものであり、具体的には、時間を直接可変的変数として取り扱う代わりに媒介的変数として取り扱うことによって、森林の生態効益を確保しながら、その経済効益を最大化するための手法を開発した。すなわち、中国林業を対象に「時間媒介的最適意思決定理論」の実用化を、コンピュータ・シミュレーションによって明らかにしたものであり、あわせて、その政策的意義の重要性を問おうとしたものである。

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© 1988 システム農学会
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