システム農学
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森林所有者の森林・林業に対する意識からみた林業政策のあり方
―都市近郊の場合―
榎 幹雄
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ジャーナル オープンアクセス

1988 年 4 巻 1 号 p. 87-98

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抄録

都市近郊における森林所有者の森林・林業に対する意識をアンケートにより調査し、数量化手法を援用して解析を行った。森林機能に対する認識はコウルマン・モデルによる属性の規定力パラメータを計測した結果、経済的機能評価意識を規定する属性としては地区、所有規模における影響が強く、公益的機能評価意識を規定する属性としては職業、年齢による規定力が大きかった。森林・林業問題に対する認識は経営意欲を軸として明瞭に区分され、「林道」、「相続税」などに強い反応を示していた。数量化手法を用いた定量化により森林所有者の意識構造に3つの軸が導出され、それぞれ「経営意欲」、「経営方向」、「森林機能認識」を示す軸と解釈できた。これらの軸における属性グループのサンプルスコアをもとに意識構造の地域特性を求めた結果、都市近郊における森林所有者の高い公益的機能認識と森林総合利用化への意識が認められた。以上の結果をもとに都市近郊における林業政策のあり方について検討を行った。

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© 1988 システム農学会
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