【目的】 肺癌に対する定位放射線照射による肺障害のCT所見と臨床所見を評価する.
【方法と対象】 6ヶ月以上経過観察可能であった35症例39病変を対象とした. CT所見は, 急性放射線肺臓炎 (治療後6ヶ月以内) と放射線肺線維症 (治療後6ヶ月以上) に分類し評価した. 放射線肺臓炎の臨床所見はCTCAE ver.3.0で評価した.
【結果】 急性放射線肺臓炎のCT所見は, (1) diffuse consolidation : 12病変 (30.7%), (2) patchy consolidation and ground-grass opacities (GGO) : 6病変 (15.4%), (3) diffuse GGO : 5病変 (12.8%), (4) patchy GGO : 1病変 (2.6%), (5) no evidence of increasing density : 15病変 (38.5%) に分類可能であった. 放射線肺線維症のCT所見は, (1) modified conventional pattern (通常分割照射で認めるconsolidation, volume loss, traction bronchiectasisがより限局的) : 18病変 (46.2%), (2) mass-like pattern (consolidation, traction bronchiectasisを原発腫瘍周囲の2cm以内に認める) : 10病変 (25.6%), (3) scar-like pattern (原発腫瘍の占拠部位に10mmまたはそれ以下の線状影を認める) : 11病変 (28.2%) に分類可能であった. No evidence of increasing densityと分類した急性放射線肺臓炎の15例中11例はscar-like patternに分類される放射線肺線維症に移行し, このような症例の多くは肺気腫を有していた. 臨床症状は, 急性放射線肺臓炎においてdiffuse consolidationと分類した病変は有意にG2以上の症状を認め (p=0.00085), no evidence of increasing densityと分類した病変は有意にG2以上の症状は認めなかった (p=0.0026).
【結語】 定位照射後の肺臓炎のCT所見について検討し, 急性放射線肺臓炎において5つ, 放射線肺線維症において3つのパターンに分類した. 照射終了後2～3ヶ月の段階では腫瘍の周辺にCT上明らかな異常所見を認めないか, 認めてもわずかな変化のみであったno evidence of increasing densityであった症例の多くはscar-like patternに移行し, このような症例は基礎疾患として肺気腫を合併している割合が高いが, 有意にGrade2以上の放射線肺臓炎が少なく, 定位照射の良い適応と考えられた.
