The Journal of JASTRO
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前立腺癌根治放射線治療後の生化学的再発の意義
野元 諭今田 肇加藤 文雄矢原 勝哉森岡 丈明大栗 隆行中野 敬太興梠 征典
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2005 年 17 巻 2 号 p. 73-78

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抄録

【目的】 前立腺癌に対する根治放射線治療後の生化学的再発の意義を検討する.
【対象と方法】 1997年7月より2003年5月までに産業医科大学病院・放射線科にて前立腺癌に対して根治放射線治療を施行した病期, A2期 : 5例, B期 : 95例, C期 : 43例, Low risk group : 18, Intermediate risk group : 33, High risk group : 67, 分類不能 : 21の総143例を対象とした. 内分泌療法は2例で未併用, ネオアジュバントが66例, 長期併用が75例であった. 放射線治療は病期Bまで前立腺局所照射66Gy, Cは全骨盤に46Gy後に前立腺に縮小し66Gyの照射を行った. 生化学的再発の基準はPSA値の3回連続上昇後, 追加治療を施行された症例とした.
【結果】 3年生化学的非再発生存率は病期別ではA2期 : 100%, B期 : 96.7%, C期 : 88.1%, リスクグループ別ではLow risk group : 100%, Intermediate risk group : 92.3%, High risk group : 89.7%であった. 8例に生化学的再発が認められた. 生化学的再発時のPSA中央値は2.6ng/ml, 倍加時間中央値は8.6ヶ月, 再発期間中央値は33.2ヶ月であった. 8例中6例が放射線治療後離脱群であったが, 放射線治療後離脱群と継続群間に生化学的非再発生存率において有意差は認められなかった.
【結語】 生化学的再発の診断にて, 不要な追加内分泌療法が早期に施行されている可能性が示唆された. 根治放射線治療後の生化学的再発の明確な基準が必要である.

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© 2005 日本放射線腫瘍学会
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