The Journal of JASTRO
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放射線腫瘍医のためのPETの基礎知識と子宮頸癌への臨床応用
播磨 洋子
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2009 年 21 巻 3 号 p. 103-107

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抄録

CT,US,MRIは形態画像であるのに対して,PETは機能画像である.PETがわが国に導入されたのは1976年で,MRIよりも早かったが,CT,US,MRIの急速な技術発展の陰に隠れていた.しかし,FDG-PETが保険診療として収載され,また,FDGが放射線医薬品として販売が開始されて以来,施設が普及したこと,PETとCTの画像を重ねて診断できるPET-CTが登場したこともあいまって,FDG-PETの検査件数は最近飛躍的に増加した.PET-CTは従来の画像診断では検出できない微小な癌病巣の描出が可能となったが,検出感度が不十分な悪性腫瘍も存在する.FDG-PETの利点は,(1)全身病巣探索が容易で,原発不明癌の探索や転移,再発診断に有用,(2)腫瘍の増殖や悪性度,炎症の活動性を評価,(3)治療経過の定量的評価や悪性度の診断に有用,(4)FDGには副作用の報告は皆無なので,腎機能障害や肝機能障害,アレルギー体質のある患者に使用可能,(5)放射線被曝が少ない点である.一方,FDG-PETの悪性腫瘍における特徴は,(1)増殖速度が速い,悪性度の高い,未分化な腫瘍ほど,集積が高い,(2)粘液や繊維成分を多く含み,細胞密度が低い腫瘍は集積が低い,(3)FDGは尿中に排泄されるので,腎細胞癌,前立腺癌を含む尿路系悪性腫瘍の描出には適していない点である.このように,FDG-PETはすべての癌の微細病変を描出し得るわけではないが,適切な目的を持って用いると極めて有用であり,今後の放射線腫瘍学の臨床,研究に大いに活用できる診断法である.

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© 2009 日本放射線腫瘍学会
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