抄録
子宮頸部癌298例に対して放射線単独治療を, ならびに111例に対して術後照射 (術後予防照射例69例, 術後残存例42例) を施行したのでその治療成績を報告する. 放射線単独治療例は骨盤腔への外部照射と低線量率持続腔内照射を, 術後照射例は骨盤腔への外部照射と必要に応じて電子線による膣腔内照射を施行した. 放射線単独治療例の病期別相対5年生存率は, I期: 108%, II期: 90%, III期: 62%, IV期: 31%であり, IV期例でも血行性転移をきたしていなければ十分に根治照射対照となりうるものであった. 局所再発はII期ならびにIII期例の13%に認められたが, 多くは腔内照射が不十分であったことならびに組織学的に腺癌であったことに起因していた. 高度な放射線障害は12例 (4%) に認められたにすぎなかった. 術後予防照射例ならびに術後残存例の相対5年生存率はそれぞれ91%, 49%であった. 術後残存例のうち膣断端部残存例の予後は良好で相対5年生存率は77%であった. 障害としては3例に膀胱膣瘻, 1例に高度の出血性膀胱炎が認められたのみであり, 膣断端部への電子線を用いての膣内照射法は安全で効果的な治療法と考えられた.