抄録
N-methylfbrmamide (NMF) は, 分化誘導剤の一つであり, 既にin vitroにおいて, 神経芽腫の分化を促すことが報告されている. 今回我々は, マウス神経芽腫に対する放射線療法における, NMFの放射線増感作用につき検討を加えた. A/Jマウスの大腿部に移植したC-1300腫瘍にNMFを6日間腹腔内投与した. このNMF300mg/kg連続投与は, 300cu.mm体積の腫瘍に対して増殖抑制作用を示し, 12.5日のgrowth delayをもたらした.この効果は, 本腫瘍に対する22.5Gyのγ線照射に匹敵する. NMFと放射線との併用効果は相加作用以上の結果となり, 神経芽腫の集学的治療に於けるNMFの, 放射線療法の増感剤としての臨床的有効性が示唆された.