1989 年 1 巻 4 号 p. 231-237
舌癌は組織内照射によりよく治癒するが, 大きく浸潤性に発育する症例の制御は今日でも困難である.我々はラジウム針による組織内照射にブレオマイシン (ないしペプロマイシン) の併用と進行した16症例には外部照射も併用し, 局所制御率の向上を計った.対象としたのは2年以上経過した42例が中心で, T1が9例, T2が19例, T3が13例, T4が1例であった.全例生検にて扁平上皮癌と診断された.局所再発は10例23.8%に認め, 内8例は初回治療の原発巣中心部に起きた.再発はT1の11%, T2の21%, T3の30.7%に起きた.再発時期は2年以内が60%, 5年以降が20%だった.5例は救済治療で局所は制御され, 最終局所制御率は88%であった.合併症として軟部組織壊死を14例, 骨壊死を4例に認めた.