The Journal of JASTRO
Online ISSN : 1881-9885
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照射野照合システムの構築について
平山 伸一安政 勝己小田 雅彦田ノ岡 征雄上紺屋 憲彦和泉 正幸坪井 慶太中尾 宣夫
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1998 年 10 巻 1 号 p. 35-46

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抄録

放射線治療の精度向上には, 治療開始時の患者セットアップと, 照射中の正確な目標位置の捕捉が重要である. そして現在では, その確認手段として電子的放射線治療照合装置 (Electronic Portal Imaging Device: EPID) が導人され, 照射中の透視画像をリアルタイムに撮像し位置ズレを検出することが可能となっている. しかし, 一般的に, 放射線治療の位置決めは, 各臨床画像を基に, X線シミュレータにより行なっているため, 照射野サイズと位置の最終確認はポートグラフィとシミュレータグラフィによる, 両画像問のズレを目視で確認している. この様な肉眼による位置ズレ評価は, 個人の主観が大きく, 信頼性と再現性に改着の余地を残している. そこで我々は, 照射位置決めのずれを定量的に把握するため, ターゲットの位置決めについてはX線シミユレータ画像と参照画像であるDSA, MRI, CT等の他のモダリティ画像との照合を行った. また照射野確認についてはX線シミユレータ画像とポータルイメージ問の照合を試みた. 次に照合に際しては, 装置のもつ固有の画像歪みと幾何学的拡大率が大きな問題となっている. そのため, 各装置問の画像パラメータとして歪み補正テーブルを作成し, 異なった複数の画像を自動照合することで, 定量的解析を可能とした. さらに照合画像を多分割原体絞り開度データ作成システムと連動させることで, 開度データ作成時に, 病巣のより正確な認識が可能となった. 本法により, 放射線治療の信頼性・再現性により一層の向上が図れた.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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