The Journal of JASTRO
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上咽頭癌に対する高線量率腔内照射
広田 佐栄子副島 俊典鶴崎 正勝高原 圭子菱川 良夫大林 加代子高田 佳木
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1998 年 10 巻 2 号 p. 117-124

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抄録

1981年から1996年まで兵庫県立成人病センターにて高線量率腔内照射を施行した初回治療14例, 再発9例の上咽頭癌症例を対象に治療成績, 晩期反応につき検討した. T因子は初回治療例ではT1: 3例, T2a: 1例, T2b: 9例, T4: 1例, 再発症例再発時のT因子はT1: 6例, T2b: 1例, T3: 1例, T4: 1例であった (いずれも1997年UICC/TNMによる). 線源は60Coであり, アプリケーターは, 先端カブ付き小児川気管内挿管チューブ使用が1例, アクリルアプリケーター使用が8例, バルーンアプリケーター使用が14例であった. 線量評価点はアプリケーター表面より1cmまたは5mmと, 1回線量は5から7.5Gy, 総線量は6から20Gyであった. 外照射線量は, 再発時照射線量も含めて40から100Gy, 化学療法併用は1g例であった. アプリケーター表面の線量 (線量評価点平面上) は合計で16.1Gyから90Gy (上咽頭側) 9.6Gyから44.6Gy (軟口蓋側) であった. 初回治療例の5年局所制御率は69.3%, 再発例では33.3%であった. 晩期反応は軟口蓋潰瘍を4例 (内2例が痩孔形成), 上咽頭粘膜潰瘍及び骨露出を2例 (1例は軟口蓋潰瘍と重複) に認めた. 各々の5年累積障害発生率は21.1%と16%であった. 深い評価点に大きい線量を与え, 表面線量が高い症例に晩期反応が多く見られていた. 1回の腔内照射で粘膜表面に大線量が照射されないようにすることが重要と考えられた.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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