The Journal of JASTRO
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脳及び肺腫瘍に対する小照射野を用いた3次元conformal照射法のDose Volume Statisticsを用いた評価
徐 博
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1998 年 10 巻 2 号 p. 125-134

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抄録

定位放射線照射と従来の放射線治療との中間である100cc程度の3-D CRTの領域では, 基礎的研究が進んでいるとは言い難い. 脳腫瘍, 肺癌の3-D CRTにおけるDose Volume Statisticsを単純化したモデルを用いて系統的に解析し, 至適線量分布を求めるための基礎的研究を行った. 線量分布をもとに, 3次元治療計画装置に装備されたDVH分析のプログラムを用い, 照射方法による脳および肺の正常組織のDVHの違いを系統的に解析した. 比較に用いた代表値としては80%, 50%, 20%線量の照射された体積, 50%線量の照射された体積から80%線量の照射された体積を差し引いた体積とした.
脳への5×5cm以上の照射野では3-D CRTは20%以下の線量領域を増し, 4×4cm以下にした場合は, 3-D CRTは20%線量領域の体積を減らせることが可能である. 50%線量領域は7×7cm以下の照射野で, 3-D CRTは従来法に比べて体積を減らすことができる.50%線量体積より80%線量体積を減じた体積は3-D CRTにより減少できる. 肺腫瘍は, 肺正常組織の20%以下の線量領域が, 3-D CRTで急激に増加するが, 20%を越える線量領域の体積を減らせる. 小照射野の3-4アークの照射は単一軌道照射よりも中間的%線量領域を減らすことができることを示し, 原体照射の理念を肺癌にも拡げ得ることが示された.
脳および肺において, 3-D CRTは従来の一般的2次元的照射に比べて中間的%線量領域の体積を軽減できることが示唆された.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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