抄録
子宮頸癌に対する放射線治療は, 欧米ではすでに1913年に, ラジウム管による腔内照射の有効性が示された. その後外部照射の助けも借りながら, 1930年代の終わりには, 標準的な腔内照射術式が決められ, 線量の表示も, 経験的な表示であるmg-hrsから, A・B点という基準点に投与されたレントゲン線量で示すように改正された. しかし, 欧米の放射線治療専門医によって作られた標準的なManchester方式による腔内照射術式が日本に導入されたのは, 実際に放射線治療医の手で治療が行われるようになった, 1950年代の後半であった. 子宮頸癌の放射線治療が第2次大戦終了までは主として婦人科医の手で行われたことを反映して, 現在でも欧米と異なり日本では, I-II期子宮頸癌に対する標準的な治療術式は手術療法である.