The Journal of JASTRO
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放射線治療領域における情報ネットワークシステムの開発
西部 茂美吉田 弘油野 民雄
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2000 年 12 巻 2 号 p. 115-124

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抄録
【背景・目的】我々の施設における放射線腫瘍学部門は, 膨大な量の患者情報を扱わなければならず, コンピュータシステムの活用無くしては, その効率的な運用利用は不可能にちかい. それゆえ, 我々は二つの目的すなわち, 1) 画像のフォーマットを統一するために, ACR-NEMA2.0フォーマットにタグ情報を附加し, 使用する全画像をDICOMフオーマットに統一・してデータの互換性を持たせること. 2) 画像データと放射線治療に関する文字・数値データを統合して管理することを主旨としてシステムの開発をした. 開発した情報ネットワークシステムは, このような情報の管理のために避けられない選択枝であると考える.
【材料・方法】このネットワークシステムでは, 画像情報のフォーマットをDICOMに統一し, ダイコムサーバ上での運用方法を標準化した.画像モダリティ側とDICOMサーバの通信には, サービスの種類 (例として, Storage Service Class) と, 伝える情報内容 (CT, MR, CR画像等) を相手に伝え, その了解を得る. DICOMではサービスの種類をサービスクラスといい, 伝えられる情報内容のことを情報オブジェクト (IOD) と呼ぶ. この二つを組み合わせたものがサービスオブジェクト対クラス (SOP) と呼ばれるもので, SOPを送って相手側の回答を得る. 同じく, システム間のコミュニケーションはTCP/IP (FTP/NFS) を用い標準化した.
【結果】今までの各画像装置問での複雑な調整作業から解放された.画像情報とテキストベース情報の両方を汎用のリレーショナルデータベース (Oracle 7) を用いて統一し, バラバラに記録していた種々のタイプのデータを効率的に管理することが可能となった.
【結語】このシステムは, 放射線治療に関するさまざま情報 (治療計画画像, 放射線療法記録データや照射処方箋データ等を含む) をどの端末からでも迅速にサーバにアクセスして利用可能である. 近い将来, 大学全体を網羅する情報ネットワークシステムの拡大を予定している. さらに診療面でのシステムの評価結果は, 特に以前の診療形態 (フィルム等のデータの棚保管) と比較し, 開発したネットワークシステムを利用すれば, 過去20年間の再照射の患者情報を迅速に検索することができ, 煩雑な日常業務から解放されとても有用である.
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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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