抄録
東日本大震災では地震と津波により約 3,100 万 ton という膨大な量の災害廃棄物が発生したが,岩手県と宮城県の沿岸市町村にさまざまの仮設の処理施設が設置され,大規模な処理が実施されたところであり,その技術システムに関する知見等を整理して将来の災害対応のために活用できるようにしておくことは重要事項である。環境省「大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会」に設置された技術・システム検討 WG では,災害廃棄物処理の一連の流れを対象に,将来想定される大規模災害時の災害廃棄物の処理計画を策定する際,各自治体が自らの地域条件に類似する事例を参照することができるよう,東日本大震災の処理事例の整理を実施した。本稿では,(一社) 日本建設業連合会加盟企業が担当した処理区についての情報を中心に検討を行い,各処理区の処理の概要,選別物を受け入れた受入先の受入基準や品質,混合状態の廃棄物の選別システムと処理フローに関して一定の整理を行った,その概要を記したものである。