The Journal of JASTRO
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電子カルテシステムの読む立場からの有用性の検討
豊田 達也青木 幸昌小塚 拓洋小野木 雄三中川 恵一佐々木 康人
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2000 年 12 巻 4 号 p. 293-305

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抄録

放射線科病棟で電子カルテシステムを構築し, 放射線治療目的で入院した患者の治療経過を, 電子カルテを用いて記載して, 電子カルテシステムの有用性の検討を行った. 電子カルテを使った場合と, 従来の紙のカルテを使って記載した場合と, カルテを読む立場から比較検討を行った. 治療経過に関する必要事項を確認しながら, 入院中のカルテを読む時間の計測を行い, 電子カルテと紙のカルテの比較検討を行った. 治療経過の必要事項を決めるにあたっては, 放射線腫瘍学会のデータベース (放射線治療病歴記録) の項目を参考とした.
その結果, カルテを読む時間の平均値は, 電子カルテでは130.0秒, 紙のカルテでは249.9秒であった. t検定のp値は0.0001で, 電子カルテと紙のカルテの間に有意差が見られ, 電子カルテの方が有意に短かった. 原発部位, 外部照射病巣の記載に関しては, 記載頻度に有意な差は認められなかった. 治療方法の記載に関しては, 記載頻度は同じであった. 治療経過の必要事項として選択した記載内容の差の評価では, 有意な差は認められなかった.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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