The Journal of JASTRO
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肺小結節照射における散乱線量補正アルゴリズムの重要性
ファントムモデルでの検証
馬場 祐之西村 龍一水上 直久村上 龍次森下 昭治冨高 悦司野津手 志保村田 友佳山下 康行
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2003 年 15 巻 3 号 p. 171-175

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抄録

【目的】肺野の小結節の線量分布計算における散乱補正の有用性をファントムモデルにより検証する.
【方法】肺野の結節を摸したファントムモデル (1×1×0.7cmおよび3×35×5cm) を作成し, 胸部ファントムに装着して撮影したCTデータをもとに線量分布計算装置にて4MVX線および10MvX線での線量分布をsuperposidon法 (散乱線に対する密度補正あり) および不均質補正ありのClarkson法で算出した. 同じファントムモデルでMarcuschamberおよびフィルム法で実際に線量を測定し, superposition法およびClarkson法で算出された照射野中心での推定線量と実測値の差異とX線のエネルギーおよび結節の大きさ毎に検討した. また, 線量分布図および結節平均線量についても大小の結節についてsuperposidon法およびClarkson法で各々算出し, 両者の比較を行って線量分布および結節平均線量の線量計算方法による差異を検討した.
【結果】照射野中心推定線量と線量計よる実測線量との比較ではsuperposition法での計算結果と実測線量の差は5%以下と僅かであったのに対して, Clarkson法では実測線曇に対して小結節において7%(4MVX線) および32%(10MVX線), 大結節でも6%
結簸の平均線量の比較ではCI訂kson法はsupeosition法での推定線量に比較して小結節では29%(4MVX線) および48%(10MVX線), 大結節でも12%(4MVX線) および13%(10MVX線) の過大線量評価 (いずれもp<0.001) を認めた.(4MVX線) および7%(10MVX線) の過大線量評価を認めた.
【結語】肺野の小結節におけるsuperposition法による計算結果が信頼性の高いものであることが確認された. 特に10MVX線で1cm程度の肺野小結節に照射する場合には従来一般的に用いられている散乱線に対する密度補正を行わないclarkson法では実測値に対して32%の線量過大評価をしており, 注意が必要と思われた.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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