抄録
温熱耐性非発現時及び発現時の細胞に対する温熱致死効果のアレニウス解析をCHO細胞を用いて行った. 第1温熱処置として, 44℃30分間処置後, 温熱耐性が最大に発現されるまで14時間培養し, 42℃ ないし45℃ の温熱処置を施した. 得られた生存率曲線よりDoの逆数を求め, それを温熱処置絶対温度の逆数にプロットし, いわゆるアレニウス解析を行った.温熱耐性非発現時の細胞におけるアレニウス解析では, 43℃ で屈曲点をもつ曲線が描かれ, 43℃ 以上で172±20及び, 以下で348±76kcal/moleの不活化エネルギーが, 各々計算された. 温熱耐性発現時の細胞では, 屈曲点のない直線として求められ, 212±20kcal/moleの不活化エネルギーが求められた. 温熱耐性非発現時及び発現時におけるアレニウス解析で求められた不活化エネルギー及び屈曲線の意味について検討を行った.