1996 年 8 巻 1 号 p. 29-34
私共が試みた「説明と同意に基づいた放射線治療」は開始より2年が経過した.これは, 我が国では新しい試みであるため承諾書の作成を中心にその概要と適切な説明の功罪について報告した.現時点では違和感も少なく, 当然のことと考えられ満足している.
「説明と同意に基づいた放射線治療」の実践は放射線治療医としての責任を明確にすることである.これは, まさに放射線診療の質を向上させるとともに患者さんとの信頼関係を強化する契機となるように思われる.そのためにも放射線治療の標準化が急務である.さらに施設ごとに対応可能な疾患とそうでないものを明確にし, 治療医間, 施設問の連携・協力体制を構築していく必要がある.その結果, 放射線治療成績の向上のみならず放射線治療の啓蒙および地位向上にも役立つことが期待される.