The Journal of JASTRO
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LANを用いた放射線治療患者管理システムの構築
村上 昌雄黒田 康正佐藤 紘一佐々木 良平余田 栄作河野 康一岡本 欣晃
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1996 年 8 巻 4 号 p. 317-328

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抄録

放射線治療の質的向上をめざすため, 放射線治療部門内LANを用いた治療患者管理システムを構築した.患者基本情報, 疾患の診断評価, 関連する治療法のデータ, 治療線量の記録, 腫瘍および障害についての治療結果の評価などの患者情報を管理し, 照射開始から終了後の経過観察までの放射線治療診療を支援することができる.[方法] Iハードウエア: パーソナルコンピュータを使用し科内各部署 (医師勤務室, 受付, 診察室, 技師操作室) に計6台のクライアントを設けEthernetで接続した.IIソフトウエア: MS-DOSVer6.2, NETWARE Ver.3.12J, R: BASE Ver45を使用した.III入力項目: データの入力は発生源入力を基本とした.外照射と腔内照射の基本情報だけで226項目/人の項目があるが, 75項目 (33%) は入力値から自動計算される項目で, 実際に入力する件数は医師が7.項目 (35%), 技師3.項目 (17%), 事務部26項目 (12%), 看護7項目 (3%) である.TNM-Stage, ICDOコード入力時はwindowを用いマニュアルなしで入力可能とした.JASTROの放射線腫瘍学広域データベース (ROGAD: Radiation Oncoiogy Greater Area Database) への対応も考慮した.IV出力: 患者日報, 照射台帳等の事務情報に加え新たに主治医に対する放射線治療サマリーの発行が可能となった.【結果】導入後の初期効果は1.各職域の業務内容の再認識ができた.2.手書き台帳廃止等の省力化.3.正確な情報伝達.4.治療カルテシステムの改良と記載項目の統一化.5.新人教育としての効果.6.リアルタイムに臨床の流れに即応した対応が可能になる.7.以前に治療した患者の検索, 治療成績の検討も容易となった.【考察】開院以来2.年間8500名の患者データーの概略は入力済みであるが, 今後Group全体で継続的に使用して行くことで精度が向上し, 治療法の継続的な改善に貢献しうると考えられる.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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